さくら保育園には怖いものが二つあります。
 ひとつは押入れ。もうひとつは人形劇のねずみばあさん。
 お昼寝前にさとしとあきらはケンカして、他のお友達にも迷惑をかけてしまいます。怒った先生は押入れに二人を閉じ込めてしまいます。
 先生は「”ごめんなさい”と言えば出してあげる」というけれど……。
 ケンカをした男の子二人が心を合わせ力を合わせ、恐怖心と戦う姿が、可愛く逞しく生き生きと描かれています。
 ちょっと長めのおはなしですが、不思議な世界にぐいぐいと子供も大人も引き込まれてきます。
 ふわふわの体とまんまるおめめのネリノ。
 でも、ネリノは色鮮やかな兄と違って生まれつき真っ黒。
 色のせいで兄たちは一緒に遊んでくれません。
 でも……真っ黒だからこそ、兄さんたちがピンチのとき助けることもできる!!
 がんばるネリノがとっても愛しい。
 繊細な色づかいと大胆な構図。そして、心温まる物語です。
 今月は娘々の保育園の遠足があります。
 それゆえのチョイスだったのかな?
 ぐりとぐらが遠足にでかけて見つけた不思議な糸。あとを辿ってみると……。ちょっぴりハラハラな展開です。
 ぐりたちがお弁当を広げると娘々の目もキラリンと光りました。
 去年の遠足の絵は画用紙いっぱいにお弁当を書いた娘々です(^^;)
* 高楼 方子 福音館書店 1995/08 ¥780 *

 もしも、なが〜く、なが〜く髪が伸びたら……洗うのや乾かすのが大変?
「そんなの、へっちゃらよお」
と、まあちゃんはお友達に素敵な方法を教えます。
 そのスケールの大きさったら(^^)
 可愛くって楽しくって心が浮き立つ絵本です。
 まあちゃんが洗濯物を干しながら読んでいる絵本は、娘々も大好きな「どろんこハリー」。見つけた娘々は大喜び。表紙も「迷路みたいv」と飽きることなく眺めていました。
* 八木田 宜子 偕成社 1997/11 ¥1,470 *

 お誕生日のネッドくん、びっくりパーティに招待されたけれど、次々と起こるとんでもない出来事。
 いいのか悪いのか!?
 Fortunately or Unfortunately!?
 ネッドくんは絶対絶命のピンチをアッと驚くような方法で切り抜けていきます。
 読んでいてもリズムが良く、切れ味抜群の展開に、ページをめくるのがわくわくしてしまう絵本です。
 日本語と英語が併記されているので、英語に興味を持ち始めたときに見せるのもいいかもしれません。
* 若山 憲 偕成社 1975/01 ¥1,260 *
 「おにたのぼうし」のあまんさんのお話と「こぐまちゃんシリーズ」の若山さんの絵が素敵な優しい世界を創りだしています。
 人間の子供と遊びたい子鬼。心配しながらも送り出してやる母鬼は「てぶくろをかいに」を彷彿とさせます。
 子供とちびおにが紙面いっぱいに遊びまわる姿は眺めているだけでも飽きることなく心が浮き立ちます。
 山へ帰ったちびおに。母鬼はどんな言葉でむかえるのでしょうね(^^)

娘々 ちびおに、おかあさんにおこられちゃうよぉ
私  え〜、きっと褒められると思うけどなあ
娘々 ????

 娘々にはまだちょっと難しいかな?
* 馬場 のぼる こぐま社 1972/01 ¥1,260 *

 11びきのねこが作るコロッケ屋さんは大繁盛。
 でも、毎日売れ残りのコロッケを食べているねこたちは「鳥の丸焼きが食べたいな〜」
 そこへやってきたあほうどり。家に兄弟が11羽もいると聞いたねこたちは……。
 欲を出した11びきのねこを圧倒するあほうどり。
 読みながら「11わぁ!!!」と娘々と二人声を出して笑うと、隣で聞いていたダンナも大爆笑。 
 何度読んでも楽しい絵本です。
 コロッケやあほうどりの数を数えるシーンがあるので、計算に興味を持ち出したときに読むといいかもしれません。
* 岩崎 ちひろ ポプラ社 1969/08 ¥1,050 *

 いわさきちひろ展で母が「人魚姫」と一緒に買った絵本。
 これも美しく、切ないお話です。
 鬼の話をすると泣いてしまう娘々もこの本は大好きで何度も読みました。
 無知で残酷な人間の振る舞いはときに鬼よりも恐ろしく、深い傷跡を残してしまうことがある。
「おにだっていろいろあるのに。おにだって…」
 呟きとともに消えてしまった優しい鬼を今年の節分の夜は思い出してしまうかもしれません。
*セルビ ウォージントン 福音館書店 1987/05 ¥945*

 くまさんは日曜日以外は毎日郵便を届けます。
 たとえ、どんなに寒い雪の日でも。
 温かい心が伝わってくるお話です。
 チェリーパイ、暖炉、靴下…クリスマスを彩る小物たちが愛らしくてお洒落な絵本。
 働くひとの1日を追う…というストーリーは学習になるかもしれませんね。
 レトロ感のある車や町並みの絵が心なごませてくれます。
 車が大好きな男の子だったら消防署に並ぶ車を見るだけでも、わくわくしてしまうかも。ひとつひとつのネーミングが愉快です。
 ジープを改良した消防車のじぷたは、格好よく活躍するはしご車の”のっぽ君”や高圧車の”ぱんぷ君”や救急車の”いちもくさん”たちが羨ましくてたまりません。それに引き換え小さな自分ときたら……と落ち込んでしまいます。
 でも、山火事の日。じぶたに出動命令が出ます!!
 個性の豊かさ、がんばることの素晴らしさを伝えてくれる良いお話でした。
 車の台詞を口調や声を変えて読んだら、娘々が大うけしてました(^^;)
 F・アッシュのクマくんのシリーズです。
 お月さまをかじってみたいクマくんとコトリは一緒にロケットを作り始めました。夏が過ぎ、秋になり…コトリは南の国へ飛び立ってしまいます。
 冬になってロケットは完成!
 早速、出発のカウントダウンのはずが……。
 ユーモラスで可愛いお話です。
 秋になると去り、春になって戻ってくるコトリ。
 冬になると眠ってしまうクマくん。 
 お話のなかに自然現象を巧みに取り入れています。

娘々の感想
数字を数えるところがおもしろかった

 ちょっとドッキリとするタイトル。「きみなんか だいきらいさ」その言葉のストレートさと裏に隠された繊細さが魅力的でした。
 いばりんぼうの友達に「ぜっこうだ!」と言い渡すためにでかけたけれど……。
 ぶーッとした膨れっ面やちょっぴり寂しそうな表情…シンプルだけど、とっても生き生きと子供たちを描いた絵本。読めば読むほど好きになりました。
 大人から見ると、笑い飛ばせるようなことでも子供にとっては深刻な問題だったり、ハラハラするような喧嘩のあとでもけろりと仲良くなっていたりするんですよね。
 図書館で私が選んだ絵本が瀬川康男さんの絵と松谷みよ子さんの文で綴られた昔話。
 長めの話で娘々が自分ではまだ読めないので私の読み聞かせ用として借りました。
 まったりとした口調とほのぼのとした色づかいが心をなごませてくれます。
 花が満開に咲き誇る頁は文字なしの見開きで、絵巻物のように美しい。
 おじいさんの飼う犬の名がシロ。「”う〜らの畑で♪”なくのはポチだよね〜?」とダンナに確かめてしまいました(笑)。
 今年初めての図書館で娘々が選んだのはやはりうさこちゃん。
 うさこちゃんがお姉ちゃんになるお話でした。
 子供の成長に合わせるかのようにうさこちゃんも成長していきます。
 こういう簡単な絵本なら娘々も声にだして読めるようになったので、少しずつ娘々もお姉ちゃんになったのかなあ。
 実家の母が「いわさきちひろ展」で娘々のために買った絵本。
 絵はいわさきちひろ、文は作家の曽野綾子。
 ガラス細工のように繊細な絵本です。
 憂いを帯びたにんぎょひめの表情が美しくも切ない。
 最後は泡となって消えてしまう姫ですが、曽野さんの書いた文章が人を愛する素晴らしさを一筋の希望の光として添えてくれています。
 間違った人を愛してしまう王子、妹のために王子の命を奪うことさえ唆してしまう姉たち。その過ちさえ昇華されるようです。
 娘々はまだアリエルに夢中みたいですけど、この優しく強いお姫さまのことも好きになってくれることを願います。
 そらまめのさやでできたふっかふかのベッドは、そらまめくんのご自慢です。えだまめくんやグリンピースの兄弟たちも貸してほしいといいますが、そらまめくんは貸してくれません。
 ところが、お気に入りのベッドが行方不明になってしまいました!
 そらまめくんはお気に入りの玩具を手放さない子供のよう(^^)子供の日常でありそうなトラブルをどう解決していくか。
 豆たちの優しさが胸にほんわかと温かく、とっても可愛いお話で、教訓にもなりそうな絵本です。
 今年、娘々は保育園で枝豆を植えました。収穫した枝豆を給食で食べ、さらに大豆になる様子を観察したそうです。
 そういうこともあって、出てくる色んなお豆に興味津々な娘々でした。
 最近、娘々がはまっているのがバーバちゃんシリーズです。
 バーバちゃんの周りで起きる「あらあら!」「まあまあ!」な出来事に、一緒にびっくりしたり、笑ったり(^^)
 おっとりしたバーバちゃんの口調がユーモラスで、読みやすいです(自分の口調に似てるのかも!?)
 ぐりぐらシリーズと同じ作者なので、出てくる食べ物もつい手を出したくなるくらい美味しそうv
 娘々が保育園で借りてきた絵本は「ききみみずきん」と「うりこひめとあまんじゃく」の日本の昔話二本立てです。
 かなり長めのお話なので5夜に分けて少しずつ読みました。
「今日はここまで」というと、続きが気になる娘々から「え〜」という返事が返ってきて、「もう1ページだけね」ということも……。
 そういう私が続きが気になって、娘々が眠ってからこっそり全部読んでしまいました(笑)
 文は「夕鶴」の作者としても知られる木下順二。
 声にして読んでいると、耳に入ってくる言葉が心地良く、台詞は優しく、つい感情がこもってしまう。名文です。
 和の情感溢れる絵も美しくて、子供の本といいつつ芸術品だと思いました。
 いずみがもりのからすのパン屋さん。
 4人の子供が生まれ、仕事の合間に泣く子をあやしたり、おっぱいをあげたり…で、もう大変!
 暮らしは苦しいけど子供たちは元気に育ち、おやつに食べていた焼けすぎパンが子供たちの間で評判に……その口コミが広がり森中を巻き込んだ大騒動になってしまいます!!
 展開が楽しくて楽しくて、読んでいる口調がつい興奮してしまいます。いろんなパン、いろんな表情のカラスたちは見ていて厭きません。パン屋一家のマイナスをプラスに変えていく逞しさが素敵です。
 絵本袋を開けたとき、いつもと違うシリーズの本を借りてきたのかな?と思ったら、この本もだるまちゃんシリーズの作者加古里子さんでした。「どのパンが好き?」と娘々に訊いたら、ちゃんとだるまパンとてんぐパンを選んでいました(^^)
 ”うみぼうず”といえばこれ!!
 「めがねうさぎの…」というタイトルですが主役は、”ばけるのが苦手なんです””泳げないんです”…なちょっと情けないおばけ。そんなおばけがうさこを驚かすために、うみぼうずになろうとがんばります(笑)その一生懸命さがおかしくも可愛いvついつい応援したくなってしまいます。
 オチはやっぱりね…という感じですけど、後表紙にもお話が続いているのが面白い。
 大人も子供も楽しめる絵本。できれば、おばあちゃんも一緒に楽しんでください。私はこの本を去年の夏に帰省したときに買ってもらいました(^^)

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